もしもいま、アドラーが生きていたら
人生が困難なのではない。
あなたが人生を困難にしているのだ。
人生は、きわめてシンプルである。
最近ハマっている心理学者・アドラーの言葉だ。
「ビジネスというのは、いかにレバレッジを効かせるかが勝負だ」
いろんな人からどれだけ同じ言葉を聞いたことだろう。
ビジネスを人生に置き換えてみればいい。
どんな成功者も、一度や二度、あるいは10回や20回、平気で事業の収縮期を経験している。
そのたびにレバレッジを効かせる術を高め、人間的にも、企業としても大きくなっていくのである。
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズしかり、ソフトバンクの孫正義しかり、マイクロソフトのビル・ゲイツしかり。
彼らに共通するのは、いったん沈み始め、停滞し始める収縮期のあとに、必ず、拡大の膨張期を迎えることだ。
もっと簡単に言えば、バイオリズムの波みたいに、沈んでは浮き上がり、沈んでは浮き上がり、沈むたびに風船が分厚く頑丈に巨大化して一気に浮き上がり、しまいには飛行船になって空を飛び始めるのだ。
難しく考えだすと、結局すべてがいやになって、人はうまくいかない理由を、言い訳を懸命に探し始める。
でも冒頭に紹介したアドラーの言葉のように、人生はシンプルにできている。
難しく考えれば難しい人生になっていくし、ポジティブに考えれば未来志向の現状打破のエネルギーがなぜか湧いてくる。
スティーヴ・ジョブズも人生はシンプルだと言い切った。彼が起こしたアップル製品のイノベーションは、そのすべてにおいて「シンプル」が貫かれている。
そこに至る過程はもちろんシンプルな作業ではない。
膨大なプログラミング作業や新しいロジックやチップ、洗練されたデザインや機能を、ユーザーフレンドリーで、かつ直感的に使えるデバイスという高みに至らせるために費やされるプロセスは、それこそ、孫正義が語ったように「脳がちぎれるほどに考える」(2014年4月12日日経インタビュー)という作業の連続だからだ。
そこで、僕も少しだけ振り返って考えてみた。
果たして脳がちぎれるほどに何かを考えたことはあっただろうか、と。
心がちぎれるほどに悩み苦しんだことはあっても、脳がちぎれるほどに考えて仕事をしてきたことは……ないな、たぶん。
たぶん、というのはいろいろあって記憶が結構飛んでいて、思い出せない出来事が多いからだ。
(アドラーに言わせれば、これも自分に言い聞かせる都合のいい言い訳なんだろうなあ)
でも、いま、脳の一部くらいなら、ちぎれるかもしれないなあ、と思えるほどに集中して、リアルとネットを融合させたビジネスのことを構想し、準備している。
突き抜けるために必要なこと
これもまたある成功者の言葉だが、
「成功している人に共通しているのは、余計な者を削るということを徹底して貫いている人だ。ジョブズは創業者でありながら会社を追い出され、倒産しかけていたアップルに呼び戻されたときに真っ先にやったのが、数多ある製品群を徹底的に少なくすることから始めた。これも、あれも、と手を出して興味が散っている人は、一瞬金持ちになることはあっても継続はできない。成功者とは、ものの見事に一点に集中した人たちなんだ」と。
一点集中。
大いなるヒント。
人生は本来シンプルなのだ。
最後に再びアドラーーの言葉。