真央ちゃんの何がすごいんだろう②……アインシュタインと村上春樹の言葉

恐怖を乗り越えた胆力と勇気

 

浅田真央。

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(日刊スポーツより)

 

日本の歴史に残るアスリート。

僕はそう断言したい。

今後彼女がどんな人生を送ろうと、ソチとそれに続く世界選手権で見せたパフォーマンスは、疑問を差し挟む余地のない、世界最高峰のアスリートが見せた、疑い用のない結果だ。

 

世界の常識、ありようを根本的にひっくり返す相対性理論を発見したアインシュタインがこんなことを言っている。

 

「あなたらしく生きる道は2つだけある。

1つは、何にも奇跡がないとする道。

もう1つは、すべてが奇跡であるとする道」

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(アルベルト・アインシュタイン)

 

すべてが奇跡の道なんてありえないけれど、

真央ちゃんはその奇跡を、ミラクルを、風雪舞う世界最高峰のヒマラヤを登頂してみせるみたいにやってのけたに等しいとさえ僕は思っている。

僕はスポーツジャーナリストでもなんでもないし、リンクで直に真央ちゃんを観察できたわけでもない。

メディアを遠してしか確認はしていないことは念のために確認しておく。

 

それでも、至高の精神レベルに立った、世界最高のアスリートの高みに立った女性であることになんの疑問もない。

ソチのSP失敗から、フリーでの完璧な演技にいたるプロセス。

史上最高得点をたたき出したSPと完璧なフリーの演技。

 

彼女にとって母の死は、自らの命を奪われたに等しいほどの衝撃だった。

苦難とか困難とか苦痛とか悲哀とか。

表現する言葉はいろいろあるだろうけれど、佐藤コーチも言っていたように、マスコミ取材のプレッシャーは常軌を逸するものだった。

村上春樹がこんなことを小説に書いている。

「この私たちの人生で真実怖いのは、恐怖そのものではありません。

恐怖はたしかにそこにあります。…

それは様々なかたちをとって現れ、ときとして私たちの存在を圧倒します。

しかしなによりも怖いのは、その恐怖に背中を向け、目を閉じてしまうことです。

そうすることによって、私たちは自分の中にあるいちばん重要なものを、何かに譲り渡してしまうことになります」

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めくらやなぎと眠る女」より

 

前にも書いたけれど、僕は生きていくことそのものにとてつもない恐怖を抱いて病んだ経験がある。

人は弱い。

目の前にそそり立つ壁を超えて、巨人が町を襲いかかってくるように(コミック「進撃の巨人」)、

周囲に自分なりのバリケードを作ったとして、恐怖はいとも簡単にそのバリケードをくぐり抜け、

本質的な生命の尊厳までも奪いにかかってくるのだ。

 

真央ちゃんのすごさは、あらゆる恐怖に打ち克ったことだ、と僕は思う。

ポジティブに生きろ、だなんて声だかに叫ぶ人の内面は、ひょっとしたら恐怖に支配されている。

「恐怖とは、希望と勇気と祈りによってしか乗り越えられない」

 

誰の言葉かは忘れた。

真央ちゃんの演技が人を感動させる背景には、そのすべてが、宿っている。

僕にはそこが真央ちゃんのすごさだと思えてならない。

 

 

 

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