「3.11を忘れない」号外……「どう使う? 3兆円」(NHKスペシャル)が問いかけたもの

「どう使う? 3兆円」(NHKスペシャル)が問いかけたもの

 

2014年3月9日(日)21時から放送された「どう使う? 3兆円」(NHKスペシャル)。
石巻の小学校時代からの友人も取材を受け、冒頭付近で紹介されたいた。
新築の家を津波で失い、進まない復興施策に、土地を売って移転を決めたという。

 

更地になった被災地の沿岸部の復興について、各地の行政と住民の葛藤を紹介した番組。

 

結論から言いたい。

 

復興が進まない最大の理由。それは、国も、地方自治体も、被災地の住民も含めた、「他力」にすがったコミュニケーション不足だ。

 

ある友人に言われた一言が僕は忘れられない。

 

「東京に住むお前に、おれらのことなんかわかるわけないべ」と。

 

ショックだった。
被災者すべてがそれぞれの事情を背負っている。
僕は知ったふりをしたわけでは決してない。
もちろん、被災地に住む者と、被災地を故郷にしながらも離れて暮らす者との間の精神的な距離や生活格差はわかっている。

 

でも、思いという大切な部分について、やはり言われたくなかった言葉だった。

 

実際に震災直後に石巻に入り、実家周辺の被災者の方々と、がれきの除去とぐちゃぐちゃになった家のまずは片付け、車一杯にもっていった支援物資の無償配布など、これまではほとんど交流のなかったご近所さんたちと、それこそ一致団結して、腱鞘炎とひどい腰痛になりながらも、まずは実家周辺の身近な人々とともに、ささやかな復興活動に従事してきた。

 

一服のたばこさえ入手できなかったお隣の奥さんに、たばこを一箱差し上げた時、彼女はたったそれだけのことで涙を流し、何度も何度も「ありがとう」といって頭を下げた。

 

若いご夫婦の家にはカイロと生理用品をもっていった。そこの奥さんも感動して涙を流した。

 

僕も実家に戻って、一つ一つのささやかな出来事が起こるたびに、泣いた。

 

なぜこんな目に遭わなければならないのか。

会社を休んで帰省していた手前、いったん10日ほどで帰京しなけらばならなかった。
その間、ひたすら地域の皆が、まるで家族のようにコミュニケーションをとって、支援物資の共有や配達、時限的に再開したスーパーの情報などを共有しあった。

 

ろくに付き合いさえなかった人々が、互いを思いやるという行動。
いざ、というときは、コミュニケーションがすべてなのだ。

 

家族を亡くしたり、大切な人の安否がわからない人も普通にいる。

それでも互いに話を聞き、水や灯油や食べ物を分け合って、励まし合いながら、折れそうになっている心を、地域のコミュニケーションが支えて行く場面を、僕は実際に見て経験してきた。

 

人員不足、カネ不足。
こんな大規模な災害で、復興プロセスに精通したプロがいるわけでもない。

 

番組で紹介されていた壊滅状態となった女川町は、町長がリーダーシップをとりながら、つねに住民と行政とのコミュニケーションをとり続け、商店街や学校、住宅など生活インフラをなるべく一カ所に、効率的に集約させるプロセスを経て、住民の流出を最小限に抑えようと努力を続けている。復興費用の30%を削減できるという。

 

いずれ、さらに詳細に綴って行きたいが、今回の番組を見て思ったこと。

 

それは被災地に限らず、いかにして価値的な情報を共有し、情報発信し、議論を深め合うかという、当たり前と言えばあまりにも当たり前な、コミュニケーション不足による問題が、あまりにも僕たちのまわりに多いということだ。

 

お役所仕事、と揶揄される言葉の本質は、実はコミュニケーションがないということとイコールなのだ。すなわち、「人のために何かをする、何かを思う」という視点のなさとその行動を、お役所仕事、という。

 

ネット社会となって、瞬時に情報が共有される時代に、多くの人たちが面前のコミュニケーションができなくなっているという話をいろんなメディアでよくみかける。

 

けれどネット社会だからこそできる、かつてはありえなかったコミュニケーションプロセスが社会を変え始めている。

 

個が力を持つ時代。それがコミュニケーション革命の序章だと思う。

 

国も、行政も、住民も含めて、アナログとデジタルを融合した、新たなコミュニケーションスキルが、求められている。

 

ネットスキルのない年配者、あってもその本質を知らない大勢の人たち。
問題の根は、あまりにも深い。

 

それでも、復興プロセスの飛躍を促す大きな可能性が、個人個人のITスキルにあるのではないかと、僕はいま、思い始めている。

コメントを残す

サブコンテンツ

PR

スキマ時間はゲームで楽しもう
Yahoo!モバゲーに今すぐ登録!

このページの先頭へ